【第12話】 洞窟探索……① 衝動買いの雷魔法、馬鹿と同じ選択
4 洞窟探索……①
◆自分だけの『カード』と、15人のマナ適性
始めに、仲間が選んだ魔法をきちんと紹介しておこうと思う……。
アレックス、レベッカ、レオンの3人は身体強化魔法。
ホセは火の魔法、カイリは水魔法、オマールは土魔法でエマは風魔法だ。
リオニは回復魔法。
グリップとエニアは自己回復力。
ソーマは少し特殊で視界魔法。
魔法には相性もあり、自分の好きな魔法を使えるとは限らない。
グリップとエニアの自己回復は対象が自分だけなので、みんなの役に立てないと落ち込んでいた。
誰もそんな事は思っていないけれど、やはり目に見える形で役に立ちたいと思うものなのだろう。
レベッカは身体強化、気分屋で自分中心に物事を考える彼女らしい。
攻めるのも逃げるのも、自分一人で出来てしまう彼女にピッタリの魔法だろう。
アレックスとレオンはレベッカと同じく身体強化の魔法を身に着けた。
何だかんだ言っても力自慢が多いとパーティの地力が強くなるので悪いことでは無いだろう。
リーダーのアレックスはやはり仲間最優先の考えだ。
文字通り自分が仲間の盾になるつもりらしい。
サブリーダーのレオンも似たようなものだと思う。
ホセは底抜けのアホなので相性の良くない火魔法を選んでいた。
「火の魔法使いとかかっこいいだろ?」とか言っていたが、誰もツッコまなかった。
本気でそう思っているのが馬鹿……ではなくて、ホセの凄いところだ。
後ろでレオンが微笑ましそうに見ていたが、保護者かな……?
今の火力だと種火にしかならないので、戦闘では全く役に立たないけれど、きっと料理の役には立つと思う……たぶん……。
そして、ミカドが選んだのは雷魔法だった。
先日の魔イノシシの突進を潰したのは雷……電気で前足周辺の動きを強制的にコントロールできないようにしたものだ。
……レベッカに比べると地味なんだよな……近付かないといけないし……危ないし……ちょっと刺すだけで、パッと見て魔法って分からないし。
ど派手なレベッカと比べると、どうしても自虐的になってしまう。
ではどうして雷魔法を選んだかと聞かれると、ミカドはとても困る。
なぜなら、カッコイイと思ったから……自分の選んだ理由が実はホセと同じだと知られるのは恥ずかしくて耐えられない。
……俺は……一生誰にも言わないぞ。
衝動買いみたいな動機で決めてしまい、実は既に少し後悔していたりする。
それでも自分で選んだのだから諦めというか、納得は出来ている。
そういう意味で、オマールやエマが仲間の事をきちんと考えていることや、自分本位に操ろうとしていない事が知れて良かったんじゃないかと思う……。
リオニは後方で作戦を立てることが多いので、負傷した仲間を下がらせて自分が回復するのが合理的だと言っていた。
確かにそうだ。
カイリの水魔法が戦闘でどう役に立つのか分からないが、洞窟内で生成できる安全な水は大活躍するだろう。
ソーマの視界魔法は雷魔法の亜種のようなものだ。
目を通して得られる情報が増えている。
視力も上がっているし、役に立てそうな斥候を考えているらしい。
洞窟を探索する時に大活躍する予感がする。
グリップとエニアは自己回復力が高い。
毒や酸、魔法による攻撃への耐性も高い。
2人とも、以前より思い切って前に出られるようになったように感じる。
オマールは土魔法が使えるらしい。
洞窟なら壁の形を変えて姿を隠したりできるとかなんとか言っていた。
魔法の使い方はまだぎこちない部分も残っている。
けれど、集めた情報やオマールとエマの話しを聞く限り、苦戦はあっても洞窟探索で後れを取る事は無さそうだ。
◆未知への一歩、暗闇を照らす魔道具
それから数日後、みんなで相談した結果、準備が整ったと判断し、いよいよ洞窟探索に乗り出す事になった。
「洞窟って思ったより暗いんだね……」
少し不安そうなカイリの声が、洞窟の中を反響していった。
普通であれば松明なんかを利用するのだが、この世界には魔法がある。
魔法は何らかの法則にマナを流すことで効果が発動する。
予め呪文を彫り込んだ物にマナを流して使う事も出来る。
いわゆる魔道具というやつだ。
今回はその中でも洞窟で最も使用される魔導具を用意してある。
「おっ?点いた!!」
今度はホセの間の抜けた声が洞窟内に響く。
明かりを放つ道具を手にしたグリップは洞窟内の暗い場所を照らして様子を確認している。
光る魔導具は全員が所持しているが、あらかじめ一番明るい物をグリップが持つことを決めていたのだ。
「じゃあ俺は先の様子を見てくるよ」
これも予定通り……視界魔法を覚えたソーマが先行して安全かどうか調べる事になっている。
魔法で暗闇でもよく見えるらしい。
ソーマの仕事は先の道を調べ、分かれ道があればその場で待機して合流を待ち、先に魔物や魔獣がいるならその情報を持ち帰るところまでだ。
その後の処理は、みんなで相談することになっていて、きちんと機能すれば安全に探索できるはずだ。
慣れない洞窟探索、今はまだ未知の活動に慣れる段階だ。
帰りの体力を考慮して疲れる前にキナーク砦に戻らなければならない。
洞窟探索を始めて数日が経った。
今日も暗い洞窟を進む。
事前に聞いてはいたけれど洞窟探索は狩りと比べて全然お金にはならなかった。

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